介護業界は、高齢化が進む中でますます重要な役割を担うようになっています。しかし、人手不足が深刻化しており、外国人労働者の活用が急務となっています。特に、技能実習制度と特定技能制度は、介護業界での外国人労働者受け入れに大きな影響を与えていますが、その違いを理解して活用することが重要です。今回のブログ記事では、「技能実習と比較した際の特定技能の介護の5つのメリット」について解説していきます。
なぜ介護分野では特定技能が優位とされるのか?
介護分野における特定技能に関する具体的なメリットを説明する前に、前提として、特定技能と技能実習の目的を把握することが大切です。
特定技能は「就労」を目的として発給されるビザである一方で、技能実習は「実習」を目的として発給されるビザであり、就労を目的としたビザではありません。
このような制度の背景が異なることから、それぞれの制度で求められる管理体制や労働条件が異なってきます。それぞれの制度の背景を理解することで、特定技能と技能実習の特徴の違いを理解しやすくなります。
それでは具体的に介護分野において特定技能が技能実習よりも優れているとされる点を見てみましょう。
職務内容の範囲
技能実習制度では、実習生の業務として、「訪問介護」「服薬介助」「1人での夜勤」が制限されています。夜勤に関しては、技能実習生の介護業務に関する知識や経験、コミュニケーション能力など総合的に判断したうえで、ともに夜勤に従事する人数の配置が求められています。
一方で、特定技能では「訪問介護」のみ制限されており、技能実習生と比較してより幅広い職務内容を担当することが可能です。これにより、外国人労働者が自身のスキルを活かしながら、企業のニーズに応えることができます。
配置基準
介護業界では、介護施設ごとに一定の人員配置基準が設けられおりますが、技能実習制度では、入社7か月目からその配置基準に対する算定人数に含まれます。人材不足が顕著な介護分野において、即戦力を求めたい介護施設側からすると、この制約はネックになるかもしれません。
一方で、技能実習以上のスキルを有するとされる特定技能ではその基準が緩和されており、入社初日から算定人数に含まれます。また、特定技能であれば、届出を提出するだけで同じ法人内で就業場所の変更をすることができます。
ただし、特定技能の場合でも「一定期間、他の日本人職員とチームでケアに当たるなど、受け入れ施設における順応をサポートし、ケアの安全性を確保するための体制を求める」とされているため、チームでケアに従事する体制を整え、日本人従業員とともに業務にあたる必要があります。
業務日誌・定期報告の有無
技能実習制度では、毎日技能実習日誌を作成する必要があり、そのほか初めて技能実習生を受け入れる場合には「実習実施者届出書」が必要だったり、実習の実施体制や実習生の労働条件などを報告する「実施状況報告書」の作成など、様々な書類の作成の必要があり受け入れ企業の負担は大きくなってしまいます。
一方で特定技能では毎日の日誌作成は求められず、3か月に1度の定期報告のみ求められています。また、定期報告は登録支援機関に支援の委託をすることも可能なため、受け入れ機関としての負担を技能実習と比較して減らすことが期待できます。
採用人数の制限
技能実習1号では、日本人従業員の10%までしか外国人労働者を雇用できず、人手不足に対処しにくい状況が生じることがあります。一方で、特定技能では日本人従業員と同じ人数まで採用ができるため、企業にとって、より自社のニーズに合わせて、適切な人数の外国人労働者を採用することができます。
日本への順応
技能実習では、初めて日本で働く人が対象となっているため、日本での労働になれるまでに時間がかかることが想定されます。一方で、特定技能はその約70%がすでに3年以上日本で働いている人であり、日本の労働に慣れていると考えられます。また、技能実習と比べて特定技能の方が高い日本語スキルを有しており、新しい職場になったとしても、より順応が早く、成果を出すまでに時間がかからないことが期待できます。
おわりに
本記事で紹介した「技能実習と比較した際の特定技能の介護の5つのメリット」は、「職務内容の範囲が広い」「初日から算定人数に含まれる」「3か月に1度の定期報告で管理の負担が少ない」「日本人と同じ人数採用可能」「日本への順応が早い」ことが挙げられます。
これらのメリットを理解し、特定技能制度をうまく活用することで、企業は介護業界での外国人労働者の受け入れをより円滑に進めることができます。また、外国人労働者にとっても、自身のスキルを活かし、働きやすい環境が提供されることで、より充実した仕事をすることができるでしょう。
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