飲食店での外国人雇用におけるよくある2つのトラブル

近年、特定技能制度を活用した在留外国人が増加しています。出入国在留管理庁によると2022年11月時点で特定技能(1号)在留外国人数は12万人にのぼります。2021年12月末がおよそ5万人だったことを踏まえると、特定技能制度での外国人雇用が急速に広まっていると言えます。

その中でも、飲食業(外食業)に従事している外国人労働者はおよそ5,000人にのぼりますが、飲食店での外国人雇用において雇用者と労働者の間でのトラブルが後を絶ちません。

本記事では、飲食店での外国人雇用におけるよくある2つのトラブルをご紹介します。

契約内容と実態が異なる

1つ目のよくあるトラブルは、雇用契約書の内容と労働の実態が異なることです。

例えば、雇用契約書では1時間の休憩が与えられることが明記されているにも関わらず、実際には20分の休憩時間しか与えられない、もしくは週休2日の予定が、アルバイトの数が少ないからなどの理由で週休1日にさせられてしまうといった事例が挙げられます。

雇用主と労働者のどちらにとっても雇用契約を順守することが求められますが、日本人を雇用する場合より外国人を雇用する場合の方が、業種への理解の差や言語によるミスコミュニケーションの発生が起こりやすいと考えられます。

そのため、アルバイトの人数の都合で今週は予定より1日多く勤務して次週代休を与えるなど、やむを得ず会社都合で雇用契約書との記載と異なる対応が必要になる場合は、日本人を雇用する場合より丁寧に説明をし、外国人労働者の理解を得ることでトラブルへの発展を防ぐことが重要となります。

最低賃金を下回る

2つ目のよくあるトラブルは、サービス残業などによって最低賃金を下回ることがあげられます。

外国人を雇用する場合も、労働者の国籍や雇用形態(技能実習や特定技能など)を問わず労働基準法が適用されます。

労働者に残業を求める場合は労働基準法第36条に基づいて、時間外労働を行う業務の種類や時間外労働の上限を定める36協定の締結・届出が必要となります。36協定を締結した場合、原則、月45時間かつ年360時間の残業時間を時間外労働の限度時間と定めています(参考:厚生労働省)が、この限度を超えるサービス残業や残業代の未払いにより最低賃金より下回ることがトラブルとして発生しています。

出所:厚生労働省 働き方改革特設サイト 時間外労働の上限規制

日本人労働者の雇用主は、労働基準監督署に労働実態の監督を受けますが、外国人労働者の雇用主は労働基準監督署の監督に加えて、出入国在留管理庁の監督も受けることになります。

外国人労働者へ支払われる賃金がサービス残業などの理由により最低賃金より下回ることは、入管法の不正行為の対象となるため、不正行為認定を受けた場合は外国人労働者の雇用が一定期間停止させられるという措置が取られる可能性もあります。

おわりに

外国人労働者の雇用は、日本人労働者の雇用と共通する部分と外国人労働者の雇用にのみ適用される規定があり、雇用前に十分に理解する必要があります。

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